1880-1916(明治13-大正5)
「宇津の山路」 1912(明治45)年 |
紫紅は、小堀鞆音門下の研究会「紅児会」での活動や、文展への出品作で注目を集め、再興日本美術院には同人として参加、若手代表画家として活躍した。作風は、初期の大和絵的なものからおおらかな南画風へと変化を見せる。本作は、伊勢物語に取材し、在原業平が駿河国宇津の山路にさしかかった場面を描く。第18回紅児会展出品作。《近江八景図》、《熱国の巻》など、代表作を次々と生み出した充実期の作である。みずみずしい色彩や点描風の柔らかな筆遣いなど、紫紅の特色が存分に発揮されている。 |