《涅槃》 1960年 山口県立美術館(寄託) |
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黒と褐色を中心にした暗鬱な色調でおおわれた画面、木炭や方解末を混ぜた油絵具を塗り重ねていく独特の手法。香月泰男の〈シベリア・シリーズ〉は、彼がシベリア抑留中の記憶をもとに、帰国後、故郷・山口県三隅町で制作し続けた日本絵画史上、類をみない作品群です。全57点にも及ぶシリーズは、その一点一点が、シベリアでの鮮烈な記憶、体験を物語っており、作品としての造形的な美しさと力強さをたたえています。 今回の展覧会には、戦前の初期作品や〈シベリア・シリーズ〉と時期を同じくして制作された故郷の身近な風景、自宅の台所にテーマを求めた作品、香月のユーモラスな一面を垣間見させる「おもちゃ」類など、約170点が出品されます。静岡では初めての本格的な回顧展、この機会に「香月泰男の世界」をご堪能ください。
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