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描かれた東海道
−室町から横山大観まで、東海道をめぐる絵画史−
2001年10月16日(火)〜11月25日(日)

 この展覧会を準備するため、この酷暑の夏、何度、東へ西へと奔走したことでしょう。移動はもちろん東海道新幹線。今では常識となった旅の手段です。おそらくこれが今の「東海道」なのでしょう。車中の人となり車窓を眺めながら、複雑な気持ちで昔の「東海道」に思いを馳せたこともしばしばでした。どんな人が、どんな思いで、この400年の間に東海道を旅したのか。大名から庶民まで、その立場や感じ方は千差万別だったでしょう。歴史の重みがずしりと胸に染みます。また、この間に起こった景観の変化についても、改めて考えさせられました。東海道を旅した人のなかには、もちろん画家もいました。旅で見た各地の風景に触発されながらいろいろな作品をのこしています。かれらの見た風景はどのようなものであったか、現在、同じ場所に立ったとき、私たちは何を感じるでしょう・・・。

 そんな担当者の思いとともに準備された本展は、室町時代から昭和にいたる「東海道」の絵画を集めた展覧会で、次の4つのコーナーによって構成されています。

T.「東海道屏風」の世界
U.東海道スケッチと江戸の風景画
V.浮世絵に見る東海道
W.東海道と近代画


 東海道が絵画でどのように描かれてきたか、歴史的変遷をたどります。伝統的な名所絵から江戸時代に隆盛した東海道屏風への流れ。風景の写実的表現への関心。歌川広重《東海道五拾三次(保永堂版)》の大ヒットと、それにともなう浮世絵・東海道絵の流行。さらに近代以降に油絵で描かれた作品や、横山大観らが東海道を旅しながら描いた絵巻、池田遙邨の《昭和東海道五十三次》など−まさに東海道の絵画史。時々の画家と東海道の関わりはさまざまです。美術史の上でも、まだ解明されない事柄がいっぱいで興味がつきません。

 この機会に東海道に関する多様な絵画世界に触れ、いろいろなことを感じとってください。

(当館主任学芸員 飯田 真)

《東海道往来図屏風》室町―桃山時代
奈良県立美術館蔵
丹羽嘉言《神洲奇観》明和7年(1770)
名古屋市博物館蔵
歌川広重《東海道五拾三次之内(保永堂版)》 
「蒲原 夜之雪」
天保3-4年(1832-33) 
静岡県立美術館蔵
横山大観・下村観山・今村紫紅・小杉未醒
《東海道五十三次合作絵巻》
観山「嶋田・大井川」(部分) 大正4年(1915) 
東京国立博物館蔵

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