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「静岡ゆかりの画家たち」展
2006年3月3日(金)〜4月4日(火)


 静岡県にゆかりのある作家の作品を収集し、展示することは、県立美術館の大きな役割の一つです。また、単に展示するだけではなく、その作家や作品を全国的に位置付けて紹介することが、何よりも重要です。

 当館では、開館以来、曽宮一念、川村清雄、秋野不矩など「静岡の美術」シリーズとして、多くの作家を全国に紹介してきました。

 そして、平成14年には、それらをまとめるかたちで「静岡ゆかりの画家たち」展を開催し、静岡の美術の特徴を明らかにしました。その図録の冒頭で、私は静岡の洋画の特徴を次のように述べました。「静岡の近代洋画について総体的にいえることは、洋画家の層が薄く、しかもその現れ方が散発的なことである。」これは、優れた洋画家を体系的に輩出した鹿児島県や岡山県に比べて、そうコメントしたものでした。しかし、美術史の見直しが進む中で、このような見方も修正しなければならないと感じています。


川欽一郎《早川海岸》昭和10年頃

伊藤勉黄《上海の裏町》昭和20年

 そこで、今回の展示では、新たなストーリーを示してみたいと思います。

(1)徳川慶喜と旧幕臣の画家たち〜川村清雄、石川欽一郎、小林清親など〜

(2)東京美術学校出身で静岡に居住した画家たち〜和田英作、曽宮一念など〜

(3)静岡から世界へ〜秋野不矩、伊藤勉黄など〜

 静岡には、明治維新によって要職を追われた幕臣たちが多く居住しました。この中には、最後の将軍となった徳川慶喜やそれに従った川村清雄などの洋画家もいました。このグループは、黒田清輝を中心とする近代絵画史の中では、傍流かもしれませんが、その力量や先駆性は、明らかです。

 また、風景を描くために、東京を離れ、この地にやってきた画家もいました。和田英作は、三保にアトリエを構え、生涯「富士」を描きましたし、曽宮一念もまた富士宮に50年余にわたり住み、豊かな自然をモティーフとしました。
そして、近年では、秋野不矩や伊藤勉黄といった世界で活躍する画家を生んだことも事実です。

このように静岡の美術史には、「多くの画家たちが往来しながら、優れた作品を残す」という特徴があるように思います。その源泉には、静岡という温暖な気候と豊かな自然がもたらす作家にとっての何よりの恵みがあるといえるでしょう。皆さんも、このような作品の数々を、展示室でゆっくりご覧ください。

執筆者、泰井良(当館学芸員)

information 
●観覧料

一般・大学生 500円(400円)
小・中・高生 200円(100円)
70歳以上無料
※(  )内は20名以上の団体料金


●美術講座

○3月12日(日) 午後2時〜 講座室
講師:泰井良(当館学芸員)
「徳川慶喜の油彩画について」

○3月19日(日) 午後2時〜 講座室
講師:村上敬(当館学芸員)
「演題未定」

○3月25日(土) 午後2時〜 講座室・展示室
講師:森充代(当館学芸員)
「秋野不矩について」※観覧料が必要です。


●同時開催 収蔵品展

「我が愛しのコレクション〜静岡県美所蔵の現代作品にプライベートコレクションを交えて」
3月3日(金)〜4月4日(火)




 


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