アマリリス Amaryllis

2012年度 春 No.105

もっと!もっと!ロダン館

 ロダン館は、32点ものロダン彫刻作品を常時観ることができる大変贅沢な空間です。そんなロダン館を、より多くの皆様に知っていただき、また気軽に楽しんでいただきたく、今年度は3つのイベントを企画しました。


ロダンと朗読とチェロの午後
ダンテ『神曲』を詠む

 昨年開催し、好評を博した、楽器演奏と朗読が共演するパフォーマンス「ロダンと朗読とチェロの午後」を、12月20日(火)に開催しました。
 演奏に世界的なチェリスト・長谷川陽子さんとギタリスト・尾尻雅弘さん、朗読に静岡県舞台芸術センター(SPAC)俳優・奥野晃士さんをお迎えし、ロダンが《地獄の門》の制作に当り影響を受けた、ダンテの長編詩『神曲』を朗読しました。
 《パオロとフランチェスカ》《ウゴリーノ伯》などの物語が、チェロとギターの朗々とした音色に乗せて館内に響き渡り、しばし来館者を異世界に誘いました。


やぐらプロジェクト

 高さ6mを超える大作《地獄の門》には、200人以上もの人物像がはめ込まれています。しかし、作品上部は通常下から見上げるほかなく、細部まで判別できません。そこで、《地獄の門》の前に、高さ約3mの展望台を設置し、併せて作品裏の点検口も開放しました。
 また、《考える人》の背後には、高さ約70cmの観覧台を設置し、背中を間近で鑑賞できるようにしました。
 2つのやぐらは、2月12日(日)まで設置し、《地獄の門》の上部に描かれた様々な人物たち、《考える人》の隆起し、張りつめた筋肉など、普段見えにくいところをじっくり鑑賞いただき、好評を博しました。


ロダンと朗読とチェロの午後
ダンテ『神曲』を詠む


ロダン賞受賞記念
クラリネットとピアノによる名曲の午後

 静岡音楽館AOIが1995年に開館してから毎年おこなっている「静岡の名手たち」オーディションは、静岡の音楽家たちの登竜門的な存在となっています。第14回より、合格者の中から、静岡県立美術館・ロダン館で演奏するにふさわしい演奏家に「ロダン賞」が贈られるようになりました。今年度は、第15回オーディション合格者でロダン賞受賞者のお二人、鈴木悠紀子(クラリネット)さんと今田篤(ピアノ)さんによる「クラリネットとピアノによる名曲の午後」です。残念ながら、この美術館ニュースを手に取っていただける頃には、コンサートは終了していますが(3月17日)、クラリネットとピアノの美しい音色が、柔らかな春の日差しの差し込むロダン館に響き渡ることでしょう。
(当館総務課主任 内田稔子)


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