アマリリス Amaryllis

2008年度 夏 No.90

美術館問はず語り 「朝鮮王朝の絵画と日本」展への招待

今年度の最後を飾る展覧会として、平成21年2月から3月にかけて「朝鮮王朝の絵画と日本」展が行われます。サブタイトルは、「宗達・大雅・若冲も学んだ隣国の美」。察しのいい方はもうお分かりですね。そうです、若冲人気にあやかろうという魂胆です。
ただ、そういう側面は否定しませんが、実際に若冲(だけでなく宗達などほかの日本画家も)が朝鮮絵画から大きな影響を受けていたと考えられることもまた事実です。
江戸時代の朝鮮と日本の関係というと、朝鮮通信使がまず思い浮かぶのではないでしょうか。今回の展覧会でも、朝鮮通信使関連の作品は展示されます。それ以上に注目されるのが、日本と朝鮮の作品間に画風上の影響関係がみられる点です。副題で言っているのもまさにこの点で、朝鮮絵画特有の表現が日本絵画の中に取り入れられていることが、今回の展覧会でお分かりいただけるのではないかと思います。
誤解のないように付け加えれば、若冲たちが単なる模倣者であったということではありません。制作の根源を探るということは、むしろそこで何が創造されたのかを明らかにすることに他ならないからです。

歴史的にも古来より日本と交流の深い韓国の絵画とは?500年以上続いた朝鮮王朝時代の絵画、その全貌を明らかにする初の試みです。日本に所蔵される作品に加え、ソウル・国立中央博物館はじめ韓国所蔵の一級品もお借りしての展示。韓流ブームに乗った方も乗らなかった方も、是非当館で隣国の美に触れてみてください。きっと新しい発見があるはずです。
(当館学芸員 福士 雄也)


伊藤若冲《樹花鳥獣図屏風》(当館蔵)も出品されます。
※平成21年のゴールデンウィークは当館での展示はありません。

このナンバーの号のトップ

前のページヘ次のページヘ