コレクション風景の交響楽(シンフォニー)

壁画を思わせる大画面

北川民次 《タスコの祭》

1937(昭和12)
キャンヴァス、テンペラ
178.1×267.0cm

手前には、足を止め何かに見入っている女たちの一群。右奥には、演奏に夢中になっている楽隊や闘牛で遊ぶ男たち、その左奥には教会へと向かう人々の姿。青灰色が支配する壁画を意識した大画面のなかに、現実を忘れ、しばし祭りに興じるメキシコの民衆の姿が、独自の遠近法と濃い輪郭線をもつ描法で表現されている。

北川民次(1894〜1989) 静岡県榛原郡五和村(現:島田市金谷)に生まれる。新しい表現を求めてアメリカへと渡り、放浪の末にたどり着いた1920年代のメキシコで壁画運動に共鳴。児童画教育からもヒントを得て、民衆の現実の生活に根ざした絵画を残した。

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