コレクション風景の交響楽(シンフォニー)

20歳代後半の意欲作

ジョアン・ミッチェル 《湖》

1954
キャンヴァス、油彩
203.2×254.5cm
文献:71

深い青を基調として赤、緑、黄、黒、白の激しいストロークが画面中央に集積し、その上下を、白が支配する区画が取り囲んでいる。学生時代からの印象派の色や構図の研究成果と、ニューヨークで吸収した、抽象表現主義の表出性を消化し、みごとに結合させている。色彩と線と構図によって、いかにリアルな空間を作り上げることができるかを理知的に試みた20歳代後半の意欲作である。

ジョアン・ミッチェル(1926〜1992) シカゴ生まれ。1950年代初頭のニューヨークで抽象表現主義の洗礼を受けた後、1959年よりフランスに移住。全身の身ぶりを想起させる線と構築性、絶妙な色彩感覚を特色とする作風を確立した。

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