小谷元彦(1972年−)は、東京藝術大学で彫刻を学んだ後、彫刻、写真、ビデオ等さまざまなメディアを用いて、従来の彫刻の常識をくつがえす作品を発表してきました。その造形表現と美意識は高い評価を受け、2003 年にヴェネツィア・ビエンナーレ日本館代表の一人として選ばれるなど、国内外でめざましい活躍を見せています。
小谷は、痛みや恐怖などの身体感覚や精神状態をテーマに見る者の潜在意識を刺激するような作品を制作します。毛髪を編んだドレスや拘束具をつけた動物、異形の少女、屍のような武者の騎馬像など、一つの解釈に帰着しえない多層的なイメージは、美と醜、生と死、聖と俗の境界線上で妖しい魅力を放ちます。
彫刻というメディアのもつ性格に対して鋭敏な意識をもつ小谷は、彫刻特有の量感や物質性を逆手にとるかのように、実体のない存在や形にできない現象、すなわち「幽体」(ファントム)をとらえ、その視覚化を試みてきたといえます。この展覧会では、10年以上にわたって発表されてきた小谷の初期作品から最新作までを一堂に集めるほか、「映像彫刻」とも呼ぶべき体験型の大型映像インスタレーションを紹介します。
なお、本展は、2010年11月〜2011年2月に森美術館で開催された同タイトルの展覧会を、静岡県立美術館の展示空間にあわせて再構成したもので、森美術館では未発表の新作映像インスタレーション1点が出展される予定です。
ロダンをはじめ近代彫刻史の展開を紹介するコレクションが並ぶ美術館で、小谷の表現は、彫刻の概念を拡張するにとどまらず、美術そのものの新たな魅力と可能性を提起してくれることでしょう。
※出展作品は都合により変更になる場合があります。
【小谷元彦 PROFILE】
1972 年、京都府生まれ。1997 年に東京藝術大学大学院美術研究科修了。ヴェネツィア・ビエンナーレ日本館(2003 年)をはじめ、リヨン現代美術ビエンナーレ(2000 年)、イスタンブール・ビエンナーレ(2001 年)、光州ビエンナーレ(2002 年)など数多くの国際展に出品。主な個展に、「モディフィケーション」(キリンプラザ大阪、2004 年)、「小谷元彦/ Hollow」(メゾンエルメス、2009−2010 年)、主なグループ展には、「日本ゼロ年」(水戸芸術館現代美術ギャラリー、1999 年)、「現代美術の皮膚」(国立国際美術館、2007 年)、「ネオテニー・ジャパン」(鹿児島県霧島アートの森/札幌芸術の森美術館/上野の森美術館・2007-2008年)などがある。
■主な受賞歴:第25回 平成23年(2011年)平櫛田中賞 受賞
開催期間 | 2011年 5月28日(土)〜7月10日(日) |
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開館時間 | 午前10時〜午後5時30分 ※展示室への入室は午後5時まで |
休館日 | 毎週月曜日 |
観覧料 |
一般 900円(700円) 70歳以上 400円(300円) 大学生以下 無料 ※()内は20名以上の団体および前売料金 ※収蔵品展、ロダン館も併せてご覧いただけます。 ※身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている方と付添者1名は無料。 |
トークショウ[講堂] |
※終了しました。 「生と死、聖なるものと俗なるもの(仮)」 5月28日(土)15:00〜16:30 小谷元彦(美術家・彫刻家)×植島啓司(宗教人類学者) ※定員250名 ※申込不要・先着順・無料 |
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アーティストトーク[講座室] |
※終了しました。 「小谷元彦 アーティストトーク」 6月5日(日)10:30〜11:30 講師:小谷元彦(美術家・彫刻家) ※定員40名程度 ※申込不要・先着順・無料 |
担当学芸員による フロアレクチャー[展示室] |
6月11日(土)、7月3日(日)14:00〜15:00 当館学芸員が展示室にて展覧会の解説を行います。 集合場所:企画展第1展示室(観覧料が必要です。) |
主催=静岡県立美術館、静岡朝日テレビ 協力=山本現代 企画協力=森美術館