1660−1728(万治3−享保13)
蓮池鷺図 17世紀末−18世紀初(江戸前期) |
清らかさをしめす白い蓮花と白鷺――モチーフのまるい形態や、白と緑の爽やかな色彩によって、優美な画面が生み出されている。蓮葉の緑のグラデーション、細く柔らかな墨描、水から上げて力を抜いた鷺の脚先の描写など、細部の繊細な表現にも注目したい。周信は、狩野常信を継ぐ木挽(こびき)町狩野家の幕府奥絵師だが、作例はあまり知られていない。その確かな画技をしめす優品であり、大正期のすぐれたコレクターとして知られた馬越恭平(まごしきょうへい)氏の旧蔵品であった。 |