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井上 恒也
INOUE Tsuneya

1895−1979(明治28−昭和54)

富士市の大きな地主の家に生まれる。大正3年東京美術学校の日本画科に入学し、寺崎広業・川合玉堂に師事する。花鳥画を得意とした。在学中の大正6年、22歳で第11回文展に「緑蔭のささやき」が初入選する。以来、帝展・日展で入選を続けるが、昭和24年より53年まで毎年個展を開催する。釣り・狩猟・登山・昆虫や植物の採集などの多彩な趣味をもっていたが、それらをとおして得た発見や、自然に対する旺盛な研究心は、モティーフの精密な写生と鮮やかな彩色による画面へと発展し、伝統的な 花鳥画とは異なる独自の絵画世界を創造した。





月の出(奄美の黒兎一)

1971(昭和46)年
紙本着色 64.8×52.6cm
平成10年度井上匡氏寄贈

昭和46年に日本橋三越で開催した、特別天然記念物を描いた15点の作品による個展(「特別天然記念物―鳥と動物 井上恒也日本画展」)の出品作品。奄美大島と徳之島だけに生息する夜行性のアマミノクロウサギが、月の出を待ちかねたように、食物を求めて巣から出てきた一瞬を描く。褐色の硬い体毛やそばだてた小さな耳、そして緊張をはらんだ小さな赤い目は、徹底した写生に基づくもの。滅びゆく野性生物に対する、恒也の深い共感を感じさせる作品である。


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