?-1859(?-安政6)
大久保一丘は遠州横須賀藩(小笠郡大須賀町)の藩士、お抱え絵師として江戸後期に活躍。司馬江漢に学び、真人図と呼ばれる一連の迫真的な洋風人物画に名を残す。 この作品では、明け方の光に照らし出される富士山頂に焦点を絞り、その澄明な姿を描き出す。油絵と見紛うほどの陰影と質感を持ち、雪をいただき朝日に輝く霊峰富士の雰囲気をよく伝える。江戸時代の作だが、洋風表現による近代的な構成で、数ある富士山図の中でも特異な位置を占める貴重な作例。