1881-1938(明治14-昭和13)
今昔ものがたり伊勢図 |
松岡映丘は、伝統的なやまと絵を研究し、近代の日本画に復活させたことに多大な功績を残す。この作品は、昭和5年にローマで開催された「日本美術展覧会」に出品されたもの。歌人として名高い伊勢のもとに、詠進を求める帝の使者として藤原伊衡(これひら)が訪れた場面。人物の優美さ、住まいの雅趣など(姿が映り込むほど磨き込まれた板敷等)、物語の世界を忠実に表現し、細緻華麗な歴史人物画を得意とする映丘の力量が、存分に発揮されている。ローマ展以後長く行方が分からなかったが、久々に世に出た貴重な代表作。 |