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サミュエル・パーマー
Samuel PALMER

1805-1881

1805年にロンドンに生まれ、もともとは主に風景画を描き、画家としての道を歩み始めた。1922-24年頃にリンネルやウィリアム・ブレイクの影響を受けることにより、作品には幻想的で古代風な表現が見られるようになる。同時に、自然を注意深く観察し、硬い線描で表現する傾向が見られるが、これについてはデューラーやルーカス・ファン・レイデンなどの版画からの影響があると考えられている。 1826年にロンドンから南東に20キロほど離れた、ケント州ショーラムに居を移す。ここでは主に風景画が制作され、緻密な技法により作品には幻想的な雰囲気が現れている。これらはパーマーのショーラム期の作品としてとくに評価が高い作品群である。 1835年にウェールズ、さらに1837年からはイタリアに2年間滞在するが、この頃より作風が変化する。モティーフとしては古代風の田園風景を多く制作し、構図や技法の点でショーラム期に見られた豊かな表現力が失われている。


ケント州、アンダーリヴァーのホップ畑

ケント州、アンダーリヴァーのホップ畑

1833-34年頃
油彩・テンペラ、板 19.0×26.0cm
平成7年度購入

本作が制作されたとき、パーマーはショーラムに住んでおり、数年後にはウェールズに移る時期にあたる。
テンペラと油彩の混合技法による本作は、空の部分を除き細かい点描で仕上げられている。これにより茶色や黄色、緑に彩られた木々や畑は光輝くような効果を見せ、実り豊かなホップ畑の様子が巧みに表現されている。画面左手前には馬に乗る人物を先頭にして複数の人物群が描かれている。他に人気のないホップ畑を辿るこの人物群は、イェルサレムに向かうキリストを想起させるという指摘もあるとおり、本作は単に身近な風景を描写したという以上の幻想的な雰囲気をもっており、ショーラム期のパーマーの特徴をよく示すものである。(Om)


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