島戸 繁
SHIMATO Shigeru
1902-1998(明治35-平成10)
びわ湖の舟
1957(昭和32)年頃
145.0×97.0cm
キャンヴァス、油彩
平成13年度寄贈
昭和30年代はじめに、日本画の強い線を意識し始めた島戸は、蜆(しじみ)取り舟を題材とした新たな作風を開拓した。本作は、現場での写生を行い、透き通った緑色の穏やかな湖面に、高所から見渡された舟が浮ぶ。堅実な描線と白、黄色といった作者独自の鮮明な色彩によって捉えらており、当時の琵琶湖の風景がしのばれる。
静かな漁港
1959(昭和34)年頃
53.0×45.7cm
キャンヴァス、油彩
平成13年度寄贈
本作は、10号Fという小さいキャンヴァスに漁港を描いたものである。昭和8年、彦根に居住した島戸にとって、琵琶湖へと続く旧外濠は漁港として恰好の写生地であった。小型のキャンヴァスによる戸外写生を行い、自然から受けた感興を率直に描き出す。本作は、作者の平明なリアリズムを伝えるもので、水面に映える光の描写、舟の帆にみられる複雑な構成には、作者の卓越した技巧が窺える。こうした写生は、昭和33年、改組第一回日展で特選を得た《真昼の漁港》(滋賀県立近代美術館蔵)に結実していく。
社頭残雪
1968(昭和43)年頃
97.0×163.0cm
キャンヴァス、油彩
平成13年度寄贈
島戸は、昭和36年に、静岡女子短期大学(静岡県立大学の前身)教授として、静岡に赴任して以来、約7年間にわたりこの地に居住した。
本作は、久能山東照宮の社頭を描いたもの。絢爛な社殿とそこに残る柔らかな残雪を作者独特の暖かい色彩で表現している。昭和43年の第11回日展に出品された。
ステンドグラスと椅子
1981(昭和56)年頃
1456.0×97.0cm
キャンヴァス、油彩
平成13年度寄贈
島戸は晩年に至るまで、精力的な作画活動を続け、あくまで現場写生を重視した。本作をはじめ、教会の内部を描いた作例は、この時期の主要な題材の一つである。ステンドグラスから漏れる神聖な光が、巧みに表され、壁面を彩る緑は、深い色合いをみせている。静謐な空間を作者独自の色彩と構図で表現した秀逸な作である。
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