1887-1945(明治20-昭和20)
セーヌ河畔 |
清水は、都市で暮らす普通の人々への共感をユーモラスに描き出す画風で知られている。本作でも、セーヌ川に釣糸をたれる人物や、橋の欄干から釣人を見下ろす人々などに、ぬくもりのある人物表現をみることができる。また、画面奥の建物(ルーヴル)、画面中央の橋(ポン・ヌフ)、そして手前を横切る道が作るジグザグの流れと、それを最前面から一気に貫いてみせる二本の巨木という画面構成には、大胆な構図を自然に見せる作者の確かな手腕を見てとることができる。さらに、本作をまとめあげる上品な中間色は、清水のフランス時代(1924〜1927)を予見させる典雅さを示しており、作品全体に品格を与えている。 |