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アレッサンドロ・マニャスコ
Alessandro MAGNASCO

1667-1749

イタリアのジェノヴァに生まれる。画家であった父から絵画の手ほどきを受け、1680-82年頃ミラノに出て、ヴェネツィア派のフィリッポ・アッビアーティ(1640-1715)に学ぶ。当初肖像画を手がけたが、まもなくそれを放棄し、起伏に富んだ大地に小さな人物を配した荒々しい風景画様式を確立する。1703年ジェノヴァに戻り、次いでフィレンツェに行き、トスカーナ大公の宮廷画家となる。1711-35年の間はミラノに滞在。35年にジェノヴァに移り、同地で没した。マニャスコの描いた修道士、ジプシー、賭博師、隠者、野営する人々などは、ジャック・カロ、ピーテル・ファン・ラール、サルヴァトール・ローザの人物レパ-トリーを想起させる。伸びやかな絵具の扱いと、もたつきのない筆使いは、18世紀ヴェネツィアのマルコ・リッチやフランチェスコ・グァルディに影響を与え、印象派の技法を先取すると見られている。彼は没後200年の間忘れ去られ、第二次大戦後漸く再評価されるようになった。


山道の行列

山道の行列

第二ミラノ時代(1711-35)
油彩,キャンヴァス 186.5×157.0cm(楕円)
昭和62年度購入

この作品は第二ミラノ時代の大作のひとつで、ベンノ・ガイガー(1949)によれば、主題は山麓へと下る聖体行列で、円柱の下での祈りを描いた同寸の楕円形画---本作とともにルイージ・ボノーミに所蔵されていた---と補完し合う関係にあったという。内側に傾く前景の木々の間には深い空間が開け、塔とピラミッド風のモニュメント、低地に通じるジグザグの山道、(1576年のペスト以後、ロンバルディア各地に設置された)小さな十字架のある円柱、煙のように沸き上がる白雲などは、陰に浸された暗い斜面で輝きを放っている。マッキア(イタリア語で「斑点」の意)画法による、前方の行列、平伏する男たち、野鳥、杭なども、眩しいほどの光を浴びて輪郭と重さを失っている。山道に用いられたジグザグの幾何学的形態は、ワシントンのナショナル・ギャラリーに所属される矩形の《キリストの洗礼》にも見出される。(K)


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