1889-1955(明治22-昭和30)
赤城は、明治22年、駿東郡長泉町中土狩に生まれた、静岡県ゆかりの画家である。彼と水彩画との出会いは、明治38年、大下藤次郎の『みづゑ』をみたことに始まる。 本作は、疎開先の埼玉県折原で描いたもの。早春の澄明な山の空気、余寒のまだ厳しい快晴の空、白い綿雲が巧みに表されている。右方には、蒸気機関車が白煙を吐きながら、ゆっくりと進んでおり、どこかノスタルジックな感じがする。伝統的な透明水彩とグワッシュ(不透明水彩)を併用し、豊かな色彩によって画面を構成している。