元来、日本各地の「名ある所」を、和歌のイメージに即して描いた「名所絵」は、平安時代に生まれて以降、やまと絵の絵師を中心に継承され、時代を超えて大きな伝統になりました。中世・近世そして近代と、表現方法は多彩な展開を遂げますが、その伝統は日本の風景を描くさまざまな絵画で息づいています。
本展では、描き継がれた名所絵の諸相を、室町から江戸時代に制作された作品を中心に紹介します。描かれたのは、松島・天橋立・厳島・和歌浦のほか、京都や近江など各地の名勝です。富士・三保松原や蔦の細道という静岡ゆかりの名所絵も数多く出品されます。雪舟はじめ狩野派・円山応挙らの絵師によって描かれた、これらの風景には、文学や伝承など、長い歴史の中で培われた豊かな文化が蓄積されており、名所絵には美しい自然景と文化が織りなす独特の絵画世界がひろがっています。この機会に、日本人の心に刻まれた風景ー名所絵の世界をお楽しみください。
特別講演会 |
「名所絵と旅と風景」
「名所から景観へ-京都東山をめぐる考察-」 |
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鑑賞講座 |
「名所絵の世界」 |
学芸員によるフロアレクチャー |
11月25日(日)、12月2日(日)14:00〜 |
風景連続フォーラム・作家に聞く |
「風景 -視線の双方向性- 絵画 … 自作に沿って」 |