フランツ・カテル《ローマ、ヴィッラ・ドーリア・パンフィーリの庭園》 ロンドン、マティッセン・ギャラリー |
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澄み渡る青い空、降り注ぐまばゆい光、勢いよく枝葉をのばす木々、古代の面影を残す壮麗な神殿、古代とルネサンスの美術遺産。力強く開放感にみちたイタリアの自然と芸術は、画家や文人を含め無数の旅行者をアルプスの北側から引き寄せ、魅了してきました。そのイタリアで18世紀の後半、一つの大きな出来事がおこりました。画家たちが、画材を家から戸外に持ちだし、目の前の風景を油絵具ですばやく描くようになったのです。 オイルスケッチと呼ばれる油絵具による風景写生は、当時ローマに滞在していた各国の画家たちによって実践され、その後爆発的に広がっていきました。それまで家のなかで描かれていた風景画は、アトリエの芸術から戸外の芸術へと変化していったのです。自然の素顔を戸外で直接捉えたオイルスケッチは、生気と新鮮さにみちた新しい風景画として、いま世界で脚光を浴び、19世紀フランスに花開いた印象派の源流としても大きな注目を集めています。 今回の展覧会は、1780年から1850年までに描かれたオイルスケッチに焦点をあてています。鮮やかな色彩と自由な構図による出品作品は、これまで紹介されてこなかった絵画の領域を見せてくれます。メトロポリタン美術館をはじめ、ニューヨークやロンドンの個人コレクターの全面的な協力を得て実現した待望の本展を、この機会にじっくりご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。 なお、静岡で企画された本展は、シドニーのニューサウスウェールズ州立美術館とメルボルンのヴィクトリア国立美術館に巡回され、日本とオーストラリア両国の国際的な文化交流に貢献することになります。 |
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世界が注目する展覧会。静岡からオーストラリアへ巡回!!
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