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広重の東海道といえばあまりに有名ですが、広重は生涯にわたり20種以上の東海道シリーズを世に出しています。もっともよく知られるのが、出版元の名から「保永堂版」と呼ばれる最初のシリーズで、広重の出世作となったばかりか、風景版画史上に金字塔をうちたてました。「日本橋」から「三条大橋」までの宿場を舞台に、旅に関わる風物、人物を自然の景観のなかに抒情ゆたかに描き、雪や雨など、自然現象がかもしだす風情をたくみにあらわしています。広重の個性がよく発揮されたこの連作は、旅行ブームを背景に庶民の間で大いに人気を博しました。 本展では、保永堂版55枚と、その後のシリーズのなかで風景版画として充実した出来ばえをしめす《隷書東海道》55枚を一堂に展示します。この機会に広重の抒情美の世界をご堪能ください。 |
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