副館長 澤田穆志 本県の美術館が、人に喩えるなら丁度高校へ進学できたときに、赴任できた。幸い、今年度は開館15周年記念事業として、いくつかの特別企画展が開催されることになっている。その最初に「ロダンと日本」展がすでにスタートしているが、聞けばこの企画が実現するまでに5年の歳月を要したという。この間の関係者のご苦労は、想像を超えるものがあったと思う。 今回、ファン・ゴッホ作《タンギー爺さん》の特別出品が日の目をみた。この裏には、学芸員によるロダン美術館との数え切れないほどの交渉の積み重ねがあったと聞く。 お陰で、開催日数を未だ残しているが、これまでに16,000人の県民の皆様に観覧していただけた。(5月29日現在) 当美術館は、15周年を一つの節目に、次をめざして歩むこととなる。難しい課題をも背負っての旅立ちになるかもしれない。 今後は、調査研究の活動をはじめとする美術館の運営について、一層の透明化を求める声は確実に強まるに違いない。そして、その先に、行政評価の時代を迎えつつある中で、美術館が評価対象の例外的な存在たり得るかが問われるであろう。 いずれにせよ、そう遠くない将来「静岡県立美術館」が、「静岡県民美術館」へと変わるのはあり得ることである。 |
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