コレクション風景の交響楽(シンフォニー)

積み重ねられた母国の記憶

アンゼルム・キーファー 《極光》

1978-88
写真、灰・焦げ跡のついた鉛、上塗りした鉄のフレーム
241.4×101.4cm

極北の大気中にあらわれた極光(オーロラ)と暗鬱に波打つ海面を背に、暗礁に乗り上げてしまった一隻の軍艦。未知なる世界への憧憬と人知及ばぬ運命による挫折という、ドイツ・ロマン派の世界に通じるテーマを、故国の戦争の記憶と重ね合わせる。縦長の画面に、塩酸で処理した鉛や写真の断片が大胆にコラージュされている。

アンゼルム・キーファー(1945〜)  ドイツに生まれる。大学で法律を専攻した後、絵画を学ぶ。ヨーロッパ、とりわけドイツの歴史や神話をモチーフに、絵具の厚塗り、コラージュ、 異なる素材の貼り付けといった、様々な想像力を掻き立てる表現方法を展開しながら、ドイツ美術の伝統を継承する自己のアイデンティティを追求している。

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