故郷の風景に向けた穏やかなまなざし
中川雄太郎 《巴川の夕景》
1931(昭和6)
紙、木版
19.2×28.4cm
文献:16
かつて清水と静岡を結ぶ重要な水路であった巴川の、光りに彩られた穏やかな夕刻の風景を、丸刀の大胆な彫りと、多色刷りによる淡い色調の重なり合いの効果を生かして描いている。
中川雄太郎(1910〜1976) 現在の静岡市瀬名に生まれる。1930年(昭和5年)より自画・自彫・自刷からなる創作版画グループ童土社の仲間となり、
その同人誌のほか全国誌『白と黒』への発表を重ねる。自らも文芸同人誌『かけたつぼ』を刊行している。晩年は県内美術の振興に尽力した。