コレクション風景の交響楽(シンフォニー)

ものさしになった遠近法

前田守一 《遠近のものさし(折り尺)》

1967(昭和42)
プラスティック、塗料
65.7×493.0(広げた状態)×3.8cm

平面上に虚構の空間を作りだす絵画技法である線遠近法を、プラスティックのものさしに置き換えて、現実の空間に出現させたもの。ただし、ものさしに書き込まれた目盛りや数字は実体に基づくものではなく、イメージに過ぎない。作品が示す不確かな目盛りや数字は、われわれに視覚のあいまいさをあらためて気付かせてくれる。

前田守一(1932〜2007) 浜松市生まれ。版画家としての活動を続ける傍ら、1966年にグループ「幻触」に参加。60年末〜70年代初頭の重要な展覧会にトリックを利かせた作品を複数発表している。

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