コレクション風景の交響楽(シンフォニー)

色彩が織りなす巨大なヴェール

モーリス・ルイス 《ベス・アイン》

1958
キャンヴァス、アクリル
232.0×333.0cm

地塗りをしていないキャンヴァスの上端から、色の違うアクリル絵の具を何層にも重ねて流し、布地に染み込ませてつくりあげた巨大な画面。キャンヴァスを木枠に留める角度、張りとたわみ加減、絵の具の粘性、色調、量、流す方向などによって、1点1点仕上がりが異なる。ルイスは数重なる制作を通じて、仕上がりを自在にコントロールできるまでに技法を洗練させた。

モーリス・ルイス(1912〜1962) アメリカ、メリーランド州生まれ。下地を施していないキャンヴァスに絵の具を染み込ませる技法による絵画を生み出した。1954年の発表以降、亡くなるまでの実質5年という短い期間に、600点以上を制作、3シリーズを展開し、20世紀の絵画表現に新たな地平を切り開いた。

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