いまからおよそ1000年前、唐王朝が滅亡し中華世界が混沌を続ける中、北アジアの草原地帯に生まれた一大王朝が「契丹（きったん）」です。巧みな騎馬戦術と唐を継承する高い工芸技術によって国力を増大させ、200年の長きにわたって栄華を極めました。
本展覧会では、契丹文化の粋を集めた、美しい宝飾品、ガラス細工、陶磁器などの文化財を、契丹を生きた3人のプリンセスに焦点を当てて紹介します。
世界初公開50件、一級文物45件を含む、選りすぐりの作品127件から、知られざる契丹文化の全貌に迫ります。

写真上「鳳凰文冠」11世紀前半
写真下「鞍」11世紀前半
内蒙古文物考古研究所蔵（2点とも）夭折（ようせつ）のプリンセスと遊牧騎馬文化の精粋
第五代皇帝を祖父にもち、18歳の若さで亡くなったプリンセス・陳国公主（ちんこくこうしゅ）。彼女は、黄金のマスクと銀の冠を身につけ、美しい馬具と共に埋葬されました。

写真上「彩色木棺」10世紀前半
写真下左「マカラ形耳飾り」10世紀前半
写真下右「獅子文盒」10世紀前半
内蒙古文物考古研究所蔵（3点とも）世界初公開！
トルキ山古墓に眠っていた、契丹建国時代を生きたプリンセス
2003年に発見されたトルキ山古墓に埋葬されていた、契丹の建国者・耶律阿保機（やりつあぼき）の時代を生きたプリンセス。副葬品の多くは、唐の文化を感じさせるもので、その豪華さや質の高さは、彼女の身分の高さを示しています。

写真左「騎馬人物文袱紗」11世紀前半
写真右「十方仏塔」11世紀前半
巴林右旗博物館蔵（2点とも）白塔に込めた皇太后の祈り
第六代皇帝聖帝夫人・章聖皇太后（しょうせいこうたいごう）は、夫の供養のために白亜の仏塔を建て、100基以上の舎利塔、香薬、陶磁器、染織品などを奉納しました。仏教国家であった契丹の信仰の篤（あつ）さがうかがえます。