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ポール・シニャック(1863―1935)
《サン=トロペ、グリモーの古城》

平成13年度、故・石井末茂氏による美術振興のための寄付金を積み立てた基金により購入
1899年 油彩・キャンヴァス 73.0×91.7cm

 今春、当館の開館15周年を記念して、ポール・シニャック作《サン=トロペ、グリモーの古城》が購入された。シニャックは、ジョルジュ・スーラ(1859〜1891)と並ぶ新印象主義の画家で、キャンヴァスに無数の色点を並置する点描技法を最大の特色としていた。
 この絵に描かれているのは、南仏のサン=トロペ湾をその西側にあるグリモーの古城から見た眺めである。スーラの夭折に大きな打撃をうけたシニャックは、 友人の勧めで南仏に移り、制作のかたわら地中海をヨットで航海した。サン=トロペは、そのときに知った小さな漁港だった。中世の遺構である古城と丘の斜面をいろどる黄色、ピンク、オレンジ色の暖色は、群青や青紫の寒色と呼応し、安定した構図に色彩の輝きと調和を与えている。


(当館学芸課長 小針由紀隆)

Index
■開館15周年を迎えました
■赴任してみて 副館長 澤田穆志
■名画に学ぶ・絵画技法入門 報告
■静岡県立美術館所蔵名品展 報告
■「ザ・ベスト展2001」
■田中敦子-未知の美の探究 1954〜2000-
■研究ノート ロダンは浮世絵をどうみたか 飯田真

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