ヨーロッパ文化圏において、宗教画や四季の人々の営みを捉えた季節画といったものの背景などとして、瑞々しい美しさを放っていた風景表現が、人物の登場しないいわゆる純粋な「風景画」として絵画史上に出現するのは、17世紀のオランダであるとされます。そして「風景画」は、18世紀以降も弛むことなく変化を続けますが、最も飛躍的展開が認められるのは、「印象派」などが登場する19世紀を中心とした近代のフランスでした。
　本展では、同時開催の企画展「ウィーン美術史美術館展―風景画の誕生」が15世紀末から18世紀中ごろまでの風景画を対象としているのを受け、その後となる18世紀後半から20世紀初頭までのヨーロッパ風景画を当館所蔵品によりご紹介いたします。二つの美術館の所蔵品をあわせてご覧いただくことで、より充実したヨーロッパ風景画の旅をお楽しみいただけます。