文豪、森鷗外。軍医でありながら、数々の小説を残しました。一方、明治、大正時代の美術と深い関係があったことは、あまり知られていないかもしれません。鷗外は評論や展覧会審査を通して、作家たちが活躍する舞台をつくり、支援した、いわばアート・プロデューサーだったのです。親友、原田直次郎や黒田清輝など、親交のあった作家たちの名品をお楽しみください。また鷗外は軍医の最高位、軍医総監にまで登りつめました。鷗外が所属した陸軍衛生部と美術の関係を、戦傷図やレリーフなどで紹介します。さらに鷗外は帝室博物館(現東京国立博物館)総長にもなり、手腕を発揮しました。鷗外は今日の博物館行政の先駆者でもあったのです。鷗外と美術の関係を、総合的に取り扱う初めての展覧会です。ご期待ください。
<展示構成> 第一部 芸術で結ばれた友情 原田直次郎と共に T 出会い −西洋絵画と「舞姫」たち− U 共闘 −批評と明治美術の革新− ・日本画の伝統と変革 ・原田直次郎の挑戦 北派(旧派)の絵画 ・黒田清輝の登場 南派(新派)の絵画 ・美学、美術史学、美術解剖学の紹介 V 別れ そして十年後の回顧展 第二部 芸術がもたらした栄光と活躍 鷗外の多面性 W 陸軍軍医総監・森林太郎の周辺 X 鷗外と展覧会、博物館 Y 次世代へのまなざし |