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田中敦子
―未知の美の探求 1954‐2000―


平成13年7月28日(土)〜9月9日(日)


≪1985A≫
1985年
合成樹脂エナメル塗料、綿布
218.5×333.3cm
静岡県立美術館蔵


 田中敦子(1932年〜)は、戦後日本美術史において重要な位置を占める具体美術協会の主要会員として知られています。自己の芸術の新しい方向性を模索していた時期に、後に夫君となる、大阪市立美術館付設美術研究所で共に学んでいた金山明の助言を得て、抽象への関心を明かにし始めます。1953年頃のことでした。その後、先鋭な美術を目指した若手作家のグループ・0会に参加し、同会メンバーの金山や白髪一雄、村上三郎らと積極的な相互研鑽を図ってゆくことになります。当時の作品としては、コラージュの手法によるカレンダー状の作品や、数個の数字のみで構成した作品などが代表的であり、この頃からすでに私的な情感の表現よりも、時間や数など概念的なものに対する志向を明確に示していました。

≪カレンダー≫
1954年頃
インク、鉛筆、紙、コラージュ
38.0×54.0cm
芦屋市立美術博物館蔵
≪作品≫
1954年頃
インク、芯地、接着剤
21.0×46.0cm
芦屋市立美術博物館蔵



 1955年に、金山、白髪、村上と共に具体へ加入した後は、順に鳴り響く20個のベルを会場に設置した作品や、巨大な人型に管球を取り付け、規則的に光を点滅させた≪舞台服≫、多彩な電球・管球を組み合わせ、明滅する光の服に仕立てた≪電気服≫など、電気エネルギーが音や光へと変換されるシステムを利用して次々と斬新な作品を発表しました。

≪舞台服≫
1956年
≪電気服≫
1956年
※第2回具体美術展会場(小原会館、1956年)
で≪電気服≫を着用する田中敦子



 1957年頃から電球とコードの絡まりに着想を得た絵画を制作し始めましたが、それがちょうどその頃来日したフランスの批評家、ミシェル・タピエの目にとまり、具体の中で「国際的にもっとも確固たる作家群と対比並列すべき」作家の一人として彼から高い評価を得ました。それ以後、タピエを通してヨーロッパ・アメリカで紹介されるようになり、国際展への出品・入賞を経て、具体の評価を決定づけた作家の一人と目されるに至りました。

≪作品≫
1963年
合成樹脂エナメル塗料、キャンバス
200.0×332.0cm
芦屋市立美術博物館蔵
≪Work '91A≫
1991年
合成樹脂エナメル塗料、キャンバス、合板
200.0cm(直径)
芦屋市立美術博物館蔵



 これまでに田中は具体を語る際必ず言及され、戦後美術を検証する大規模な国内外の展覧会でも常に選ばれるなど重要な作家と見なされてきましたが、それはいつも具体の会員という枠内でした。本展では具体という一つの枠を超えて、具体参加以前から近年までを視野に入れ、その画業を回顧する中で、田中の作品の革新性を浮彫りにしたいと考えます。

 出品予定作品は、1950年代から2000年に至るまでの代表的なタブロー、デッサンと、1950年代半ばの布を素材とした作品や≪電気服≫をはじめとするオブジェ・立体作品などで、現存しない野外展出品作などについては、主要なものは再制作を行う予定です。その他、作品制作のためのメモ、記録写真、記録映像など関連資料も加え、田中の活動の多角的な紹介を試みます。


【開館時間】9時30分〜17時(入館は16時30分)
【夜間開館】毎週土曜日は19時30分(入館は19時)まで。
【休 館 日】 毎週月曜日(但し、祝日・振替休日の場合は開館し翌日休館)
【観 覧 料】 一般・大学生800円(600円)
      小・中・高校生400円(300円)
      70歳以上無料
※( )内は前売り・団体料金
※身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保険福祉手帳の交付を受けている方は
 無料。
※収蔵品展、ロダン・ウィングも併せてご覧いただけます。
※8月19日(日)、21日(火)は「県民の日」につき、観覧料は無料です。

再制作作品の展示および公開インスタレーション

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