退職の弁
「尾道で勉強に励みます」
来し方と行く末がお粥のように混じった春を迎えています。神戸と京都に8年、静岡は17年を数えますので美術館勤務も丁度四半世紀。50代も半ばになって人生の帰結が気になりかけた頃、新設の尾道大学芸術文化部赴任のお勧めをいただきました。 一般に美術館運営が逆風にさらされている折、個人的な課題を夢みて退職する我儘をご寛恕下さい。当館の開設準備やその後の運営、特にロダン館建設等々、身勝手な思いを正夢にして下さった沢山の方々のお顔と、静岡の美術風土の可能性とを胸に畳んで新生活に勤む所存です。 尾道は志賀直哉ら「白樺」グループ、林芙美子、美学者の中井正一、小林和作や須田国太郎ゆかりの文芸環境に富んだ地です。 では、またの再会の機を楽しみに。
(当館学芸部長)
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