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19世紀の版画東西風景への眼差し
西洋版画と広重

12月12日(木)〜12月23日(月・祝)

19世紀西洋版画
 日々の暮らしの中で、なにげない風景に、ある感慨を覚える時があると思います。それは秋の日の夕暮れであったり、ふと仰ぎ見た星空であったり。それらは決して大げさなものではなく、本当に一瞬の出来事かもしれません。しかしそれらは、ささやかではあっても、かけがえのない何かなのでしょう。

 西洋の部に出品される作品には、いずれもこの「なにげない」風景が描かれています。

 本展にはウージェーヌ・イザベイの『古きフランスのピトレスクでロマンティックな旅』や、シャルル=フランソワ・ドービニーの『アトリエ舟で行く』などの連作を展示します。ご覧になった皆様の心に、何かささやかなものが残ることを、願ってやみません。

(当館学芸員 新田建史)

ウージェーヌ・イザベイ
『古きフランスのピトレスクでロマンティックな旅』より
《ショデセーニュの十字架》

19世紀日本版画

 広重の浮世絵が実は西洋画の影響を受けていた、と言ったら皆さんは驚かれるでしょうか。西洋の印象派へ影響を与えた日本文化の象徴と して認識されている浮世絵。実は北斎や広重が描く風景画では、風景を見る視覚や遠近表現などに、西洋から移入された要素が色濃くあらわれています。しかし、西洋版画と並べて見たとき、作品から受ける印象は全く違います。広重は、日本人特有の感性で、風景にあらわれた「詩情」「情趣」を見事に表現しているからです。

 今回の展示では、広重が北斎《富嶽三十六景》に対抗して描いた《不二三十六景》全36点を展示します。北斎とは対照的な、情感を大切にした繊細な表現は広重の個性がよくあわられています。また、広重の代表作《東海道五拾三次(保永堂版)》より、日本の自然を見事に表した作品を選りすぐり紹介します。この機会にぜひ広重の抒情あふれる世界をお楽しみ下さい。

(当館主任学芸員 飯田 真)

歌川広重
《不二三十六景/駿河田子の浦》

information
会 期:12月12日(木)〜12月23日(月・祝)
入場料:一般・大学生 300円(200円)
    小・中・高校生 無料
※( )内は団体20名以上、および前売料金
※収蔵品展、ロダン・ウイング、ブリッジ・ギャラリーもあわせてご覧いただけます。

●鑑賞講座
「版画にまつわる諸々の話」 新田建史(当館学芸員)
12月15日(日) 講座室 午後2時〜 申込不要

●学芸員が語るこの一点
「歌川広重《不二三十六景》」 飯田 真(当館主任学芸員)
12月21日(土) 講座室および展示室 午後2時〜 申込不要


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