コレクションを充実させていくことは、美術館の根幹をなす大切な活動です。当館は「風景」を主要テーマとして作品の収集に努めており、平成14年度には、新たに19件25点(うち寄贈8点)が収蔵品に加わりました。
【日本画】
江戸後期を代表する画家・谷文晃の《富士山図屏風》(図1)は、すっきりとした構図と墨の走りが心地よい、富士山図の逸品です。墨一色のように見えますが、山頂付近には群青がひかれ、光を受けると深いきらめきを放ちます。遠州横須賀藩お抱え絵師・大久保一丘による洋風表現の《富嶽明暁図》も加わり、当館自慢の富士山図コレクションはさらに多彩になりました。また、ご寄贈いただいた松岡映丘《今昔ものがたり伊勢図》は、代表作でありながら長らく行方の分からなかった貴重な作品です。
【日本洋画】
明治期洋画の大成者として名高い浅井忠の水彩画《雲》は、絶えず変化していく雲の動きを捉え、赤を基調とした微妙な色彩で見事に表現した作品です。油彩画では、清水登之《セーヌ河畔》(図2)、茨木猪之吉《初夏の常念岳》など特色ある風景画を収蔵することができました。日本近代洋画コレクションの充実も進んでいます。
【西洋絵画】
戸外における油彩の風景スケッチで印象派への道を開き、フランス風景画史に名を残すテオドール・ルソー。山村風景を描いた《ジュラ地方、草葺き屋根の家》(図3)は、フランス風景画の転換期に描かれた重要な作品です。また、古代ローマの都市を復元的に表したピラネージの作品など、版画作品の収集も着実に進んでいます。
ここにご紹介できたのは新収蔵品の一部です。4月5日(土)から5月5日(月・祝)までの新収蔵品展では、25点すべてが公開されますので、是非ご覧ください。
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