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特集・狩野派の世界2003
−新発見11ふくめ初公開16作品−

4月12日(土)〜5月18日(日)



 わたしたちの日常生活に、床の間や座敷など「和の空間」はめっきり少なくなってきています。けれども、明治以降わずか130年余、それよりずっと長い日本の歴史に目を向けてみますと、和の空間に豊かな造形文化が培われ、絵画は掛軸や屏風・襖絵といった姿で生み出されてきました。そうした絵画の伝統に大きな役割を果たしたのが狩野派。室町幕府〜織田信長〜豊臣秀吉そして徳川幕府まで、400年もの間、御用絵師として活躍した日本最大の画派です。

 当館では1999年に狩野派特集をいたしましたが、それ以来「数年に一度でも狩野派の特集展示をみたい」という声が少なくありません。そうした声に応え展覧会は企画されました。今回は館蔵品だけでなく、京都・東京・県内の寺院・コレクターからの出品32件(50点)を加え、初期の狩野派から探幽・山雪をへて狩野芳崖・橋本雅邦におよぶ粒ぞろいの56件(84点)で構成します。

 なかでも、桃山時代の金箔地濃彩の伝 狩野永徳《玄宗皇帝並笛図屏風》、江戸初期の狩野山雪《夏冬月夜山水図屏風》など、11件は新発見の未紹介作品。それに、絢爛優美な桃山時代の狩野光信・長信《春秋花鳥図屏風》や、仙台藩主・伊達家旧蔵で縦2メートルを超す巨大な屏風=狩野常信《松鶴図屏風》(江戸前期)など、学術雑誌などに紹介されながら一般公開の機会がなかった作品5件を合わせ、16件が初公開となります。重要美術品の英一蝶《蟻通図》3幅対や、焼津市・香集寺伝来(弘徳院保管)の大絵馬2件(江戸初期の狩野元俊作および江戸中期の狩野梅軒富信作)もぜひ注目したい作品です。

 日本文化に愛着と誇りをもつためには、その素晴らしさを具体的に知る必要があるでしょう。それには、実物の前に立ち、大きさや迫力・色などを身体で感じるのが何より早道。伝統の底力、大画面の迫力を体感できる「特集・狩野派の世界2003」展は、その絶好の機会です。古いからこそ新しい、そんな発見がきっと…。

(当館主任学芸員 山下善也)









伝 狩野永徳
《玄宗皇帝並笛図屏風》
個人蔵 桃山時代[新発見]
部分



狩野光信・長信
《春秋花鳥図屏風》
個人蔵 桃山時代[初公開]
部分
狩野宗眼重信
《帝鑑図・咸陽宮図屏風》
個人蔵 桃山時代 左隻

  狩野栄信(伊川)
《劉備・諸将図》
個人蔵 享和2年−文化13年(1802−16)[新発見]
information 
会 期: 4月12日(土)〜5月18日(日)
入場料: 一般・大学生   600円(400円)
小・中・高校生 300円(200円)

※( )内は団体20名以上、および前売料金
※収蔵品展、ロダン・ウイング、ブリッジ・ギャラリーもあわせてご覧いただけます。

関連イベント
■特別講演会
「狩野派は何を変えてきたのか?」
講師:安村敏信氏(板橋区立美術館・学芸係長)
日時:5月11日(日)午後2時〜3時30分
会場:当館講堂(入場無料、申込不要)
■鑑賞講座
「出品作品のみどころ」

講師:山下善也(当館主任学芸員)
日時:4月26日(土)午後2時〜3時30分
会場:当館講座室(入場無料、申込不要)

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