100万人の「生きろ」プロジェクト始動
―鈴木貴博氏による講演会―
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鈴木貴博氏は、「生きろの人」と呼ばれている現代美術家です。1996年から始められた「生きろ」プロジェクトは、アジア、アメリカ、ヨーロッパ、アフリカなど世界25ヶ国以上で行われてきました。それは単に墨と筆で「生きろ」と毎日、ひたすら書く。ただそれだけの行為です。しかし、その行為をきっかけに、世界の様々な人たちと対話がなされ、コミュニケーションの輪が静かに広がっていきます。
その鈴木氏を招いて、講演会と簡単なワークショップが4月19日(土)、美術館実技室で行われました。これは毎年行っている技法セミナーとして、また今年度の連続企画「静岡New
Art」展の一環として行われたものです。
まず鈴木氏のこれまでの様々な活動が、記録写真をもとに紹介されました。アフリカの部族とともに生活しながら、彼等の祭と「生きろ」パフォーマンスが共同制作する話や、ニューヨークなどと日本とで観客の反応がどう異なるか、民族性の違いにも話がおよび、興味の尽きない内容でした。
一通り説明を聞いた後で、鈴木さんと聴講者とのディスカッションを行い、さらに聴講者が自ら墨で半紙に「生きろ」と書いてみました。鈴木氏の生き様を聞いた後で書く、それぞれの「生きろ」は、各自の心に生きることの意味を問い掛けたことでしょう。
ときおり笑いを交えながら、和やかに終わった講演会でしたが、終了後、聴講者に書いていただいた感想文には、生きることの切実な体験なども綴られており、このプロジェクトの投げかける問題の深さをあらためて知らされ、背筋が伸びる思いがしました。
鈴木氏は、一般の人たちが書いた「生きろ」を100万枚集め、自宅を改装した「生きろ美術館」に飾ることを目指しています。この "100万人の「生きろ」プロジェクト"
の、記念すべき第1回目が、今回の講演会となりました。 |
(当館学芸員 堀切正人) |
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おもいおもいに「生きろ」と書いてみる。
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聴講者と記念撮影。右が鈴木貴博氏。 |
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