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●本の窓
『日本文化 モダン・ラプソディ』
渡辺 裕 春秋社 2002年

  現代人にとって、琴や三味線は純粋な伝統日本文化の典型です。ですから、「管弦楽付三味線コンチェルト」(実在した)なんて聞くと、インチキな紛い物としか思えません。逆に、オペラの日本語上演は何だか「不純」な気がする。しかし、「純粋な伝統日本(西洋)文化」とは何でしょう?筆者は、大正期の邦楽改良運動と西洋音楽との関係を丹念に追い、異文化衝突の衝撃を描き出します。そしてさらに、その渦中から生まれてきた異様な熱気を持った音楽群が「紛い物」とみなされるようになってゆく過程を様々なエピソードで検証します。われわれが日ごろなんとなく使っている「日本文化」「文化アイデンティティ」という言葉について考えさせられる好著です。
(当館学芸員 村上 敬)
 





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