静岡県立美術館の使命を再確認し、その活動を改善するために、様々な観点から提言を行う「静岡県立美術館評価委員会」が、昨年度に発足しました。そして、今年6月2日、その「中間報告書」が、県・生活文化部長と美術館長に対して出されました。ここでは、報告書の要旨をお知らせしたいと思います。
まず、この委員会の目的は、評価制度のあり方を検討し提言したうえで、それを県庁や美術館が実行できるよう支援を行うことです。そこで、評価のレベルを(1)現場の業務改善、(2)館長などのマネージメント、(3)経営の安定性を維持するガバナンス、(4)社会からの支援体制、と四つに分け、(1)と(2)については、美術館が一次評価をしたうえで県庁と第三者評価委員会が二次評価を行い、(3)と(4)については、委員会が評価・提言をすることになっています。美術館内における評価や改善が必要なことは言うまでもありませんが、それだけでは解決できない制度や社会に対しても目を向け、実践的に評価しなければなりません。評価委員会は、こうした4層構造による評価を提言しました。
また、美術館が行うべき使命の再確認やそれに基づく戦略計画方式による業務改善については、これまでと同様にアンケート調査等によって顧客ニーズを把握し、その満足度をさらに高める努力をしていくことになります。例えば、展覧会については、入館者数と収支バランスのみで評価するのではなく、客層ごとのニーズや満足度を分析し、そのデータをもとに改善をしていくことで、より多くの皆様に親しまれるものにしていきます。一方で、美術館のコレクションやそれをもとにした調査・研究や展示については、専門家による意見を伺う機会を設け、その助言に従って、質の向上を図っていきます。
時代の変化とともに、美術館に求められる役割も大きく変わってきています。これまで蓄積してきた財産とノウハウを充分に活かしながら、新しい発想を柔軟に取り入れてより良いサービスを利用者の皆様に提供して参りたいと思います。 |