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●本の窓

『奇想の系譜 又兵衛―国芳』(文庫本)
辻惟雄著 筑摩書房(ちくま学芸文庫) 2004年
(1970年初版/美術出版社、1988年新版/ぺりかん社)


 日本近世絵画史の名著がこのほど文庫本として甦りました。本書は、岩佐又兵衛・狩野山雪・伊藤若冲・曾我蕭白・長沢蘆雪・歌川国芳という、奇矯で幻想的なイメージの表出を特徴とする画家たちを、『奇想』という言葉で定義し、再評価した画期的な著作です。初版刊行当時あまり知られていなかった、若冲をはじめとするこれらの画家たちは、その後展覧会等で取り上げられ、現在大いに脚光を浴びています。この30年間の近世絵画評価の動向は本書によるところ大といっていいでしょう。現代アーティスト村上隆も影響を受けたというバイブル的著作。文庫化を機に一般の方にもご一読をお勧めいたします。
 なお、著者の辻惟雄氏は当館の専門委員をお勤めいただいており、2月13日には「若冲と京の画家たち展」に関係したご講演を当館講堂でしていただく予定です。『奇想の系譜』を読んで講演会にも参加してみてはいかがでしょう。
(当館主任学芸員 飯田 真)


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