日本の公立美術館には、多くの優れた作品が所蔵されています。この展覧会は、当館と滋賀県立近代美術館が所蔵する作品を厳選し、激動の20世紀をテーマにご覧いただく企画展です。平成12年に、両館は「日本画の情景―富士山・琵琶湖から―」と題して、室町時代から今日に至る日本の風景画の展覧会を共同で開催しました。今回は、その第二弾で、テーマは明治の絵画から現代アートまで多種多様な作品を含む「20世紀の美術」です。
20世紀は、二つの世界大戦が勃発するなど、まさに激動の時代でした。西洋では、これより少し前に誕生した印象派に続いて、様々な流れが生まれ、美術における「転換期」をむかえていました。また、日本では、明治維新により近代化の道を歩み始めており、先進的な西洋の文化を取り入れて、新たな価値観や表現を模索していました。そのなかで、作家たちは、国家という枠組を超えて、自らの自由な表現を見つけ出します。誰のものでもない自分だけの風景、人間や物質のなかに秘められた内面性、そしてあらゆる物を超越し、時代を超えて伝わる感性。これらを生み出し、今も私たちに感動を与え、未来に向けた創造をうながしているのが、20世紀という豊かなる表現の時代なのです。
この展覧会では、20世紀に生まれた美術を制作年や時代に即して見せるのではなく、各章ごとに作品の魅力を感じてもらうためのテーマを設けています。一見すると、共通性がないとも思われるテーマを合わせみることで、豊かなる混乱の中にあった20世紀美術の多様性と創造性を実感してもらおうと考えております。
|
岸田劉生
《静物(リーチの茶碗と果物)》 1921年
アンディ・ウォーホル《マリリン》より
1967年 滋賀県立近代美術館蔵
小倉遊亀《家族達》1958年
滋賀県立近代美術館蔵 |