●本の窓
『デュシャンは語る』マルセル・デュシャン
聞き手 ピエール・カバンヌ 岩佐鉄男・小林康夫訳
筑摩書房 1999年第1刷 ちくま学芸文庫
(初出は1978年『デュシャンの世界』朝日出版社)
「人生で満足していることは?」という質問に対して、「運がよかったことですね」、「いちばん残念に思っていらっしゃることは?」と問われれば「なにもありません」と答える。何か質問を受けると「それはちょうど私があなたに聞こうと思っていたことです」。実にしゃあしゃあと、そして軽やかに自らを語っているのは、20世紀美術に巨大な影響を与えた美術家、マルセル・デュシャンです。「人をバカにするな!」と言いたい気もするのですが、この人が言うと、様になるのですね。「働くことよりも生きること、呼吸することの方がすきなのです」という台詞も、こういうの付かない知性の持ち主が言うと、説得力があります。からりと明晰な手ざわりを持つ、対話による晩年の自伝。お薦めします。
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