●本の窓
『 イタリア、旅する心 』 末永 航 著
青弓社 2005年3月31日第1刷 |
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明治から大正にかけて、日本から多くの美術史家や作家たちがイタリアを訪れ、紀行文を残しました。本書はそれらを縦横に紐解き、彼らの感じた「イタリア」を、そして彼らの赤裸々な姿を楽しげに描き出しています。確かにこの本に登場する人々は「神経衰弱」やら、旅先での女性への「春情」やら、駅弁への執着やら、感じたままを書きまくっているのです。もちろん、美術についても言いたい放題。「これはゴシップによる歴史で、学説史には興味がない」と著者が述べていることですし、私がしばしば抱腹絶倒しながら読んだことを告白しても、失礼にはあたらないかと思います。共通して「自分の内面、「心」と呼んだもの」を「さらけ出すことにも実に熱心だった」という世代についての本。是非ご一読あれ。
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