セーヌ川が流れる花の都パリ。パリといえば、世界屈指のルーヴル美術館や印象派の殿堂・オルセー美術館などがある世界の文化の中心です。そこから徒歩約15分、ナポレオンの墓があるアンヴァリッドの隣、ヴァレンヌ通りにフランス国立ロダン美術館はあります。今回は、ロダン美術館が所蔵するコレクションの中から、選りすぐりの作品を日本に紹介する展覧会を開催します。
当館にロダン館が開館した平成6年、まばゆいばかりの大理石彫刻を集めた「ロダン大理石彫刻展」を開催したことを覚えておられるでしょうか。彫刻というと、ブロンズの黒をイメージされる方が多いと思いますが、それとは対照的に白く輝く大理石は、まさに宝石のような美しさで人々を魅了しました。
そこで、今回は、その大理石に加えて、近年、ロダン研究者の間で注目を集めている「石膏」彫刻像を、日本ではほとんど初めて展示します。この石膏像は、「白いロダン」と呼ばれ、柔らかな光と影による神秘の世界が、生身の身体に近い印象を与え、人々をその魅力へと誘っていきます。ロダンの手の温もりを感じとっていただけることでしょう。
展覧会は、「カミーユ・クローデルとロダン」を含むイントロダクションに始まり、サロンに出品した《鼻のつぶれた男》《青銅時代》、そして《カレーの市民》《カテドラル》《眠り》《私は美しい》《ラ・パンセ》など、代表作を一挙に集めた、これまでにない規模の展覧会になっています。これを見れば、ロダンのすべてが分かるだけでなく、これまでロダンを充分にご覧になったという方にも、新たな魅力を発見できる機会になるでしょう。木枯らしの吹く寒い季節ではありますが、2月には、ぜひ、静岡県立美術館へお越しください。
(当館学芸員 泰井 良)
パリ・ロダン美術館 |
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オーギュスト・ロダン
《私は美しい》
1885年? 石膏
ロダン美術館蔵
(C)muse´ Rodin
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オーギュスト・ロダン
《鼻のつぶれた男》 1875年 大理石
ロダン美術館蔵 (c) muse´ Rodin
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