Bank ART(バンカート)は、横浜市による公設民営の実験プロジェクトです。古い銀行や倉庫など歴史的建造物を美術、音楽、演劇などに活用して、街並みや都市を再生させる事業で、おそらく越後妻有トリエンナーレとともに、現在もっとも活動的なアートの現場のひとつと言っていいでしょう。そこでは、日々、市民、作家、行政、企業、大学などがぶつかり合い、アートの実効性が模索されています。美術館という箱がなくても、あるいは学芸員がいなくても、さらには文化事業という制度的な保護がなくても、美術は遍在し、力を持つ。その地点からあらためて振り返るとき、公立美術館や学芸員の存在意義もまた問い返されるに違いありません。