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待望のパリ・国立ロダン美術館コレクション
「ロダン−創造の秘密」展
白と黒の新しい世界
2月4日(日)〜3月25日(日)

いよいよフランス国立ロダン美術館が所蔵する選りすぐりの優品による「ロダン−創造の秘密」展が、2月4日より一般公開となります。本展覧会は、ロダン館を有する静岡県立美術館が、自信を持ってお贈りする、今年度“注目度ナンバー1”の企画展です。
  これまで、当館では、ロダン館開館以来、ロダン美術館と協力して、「ロダン大理石彫刻展」(1994-95)、「ロダンの水彩画とデッサン」展(1999)、「ロダンと日本」展(2001)と3つの大きな展覧会を開催してきました。ロダン館開館を記念して開催された「ロダン大理石彫刻展」には、実に14万人余の皆さまが、大理石の持つまばゆいばかりの輝きに魅了されました。ついで、大正期にロダンが切望したにもかかわらず、諸事情により開催に至らなかったロダンのデッサン展を100年後に形を変えて実現しようとした「ロダンの水彩画とデッサン展」は、100点のデッサンを集めた国内初の展覧会で、デッサンの作風の変遷をたどることのできた美術史学的にも意義深いものでした。そして、日本とフランスが共同研究をし、その成果を一つにまとめた「ロダンと日本展」では、ロダンと日本美術との相互の影響関係を解明することができたと自負しております。このように、これまで、当館とロダン美術館は、学術的に全面的な協力関係を結び、数々の試みを行ってきました。そして、このたび開催される「ロダン−創造の秘密」展は、これまでの学術的成果の積み重ねによるものであると同時に、「白と黒」という斬新なテーマによってロダンの新たな魅力に迫ろうとするものです。前置きが長くなりましたが、そろそろ、本展覧会の見どころについてお話したいと思います。本展は、9つのセクションに分かれています。
  ・ イントロダクション
  ・ 記念像
  ・ 地獄の門
  ・ 肖像彫刻
  ・ アサンブラージュ
  ・ 手と四肢
  ・ 断片と古代美術品
  ・ 素描/版画
  ・ 写真
これらのセクションを通じて、今回新たに提示する「白と黒」というテーマをご覧いただくことで、作品を技法と肉付け(モデリング)の両面から鑑賞していただくことができると思います。
  さて、「白と黒」という用語が出てきましたが、簡単に分類しますと
  「白」=石膏像
  「黒」=ブロンズ像
ということになります。19世紀の彫刻家であるロダンは、彫刻を制作する際、まず自ら粘土による彫刻像を制作します。それに石膏を流し込んで石膏原型像を完成させるのですが、彫刻家の役割は、ここで終わりです。その後、ブロンズに鋳造するのは、彫刻家ではなく、職人の仕事ということになります。最初の彫刻家の手による粘土像は、石膏像制作の際に壊されてしまいますので、現存するものとしての石膏像は、粘土像を最も忠実に再現したものだといえます。このことから、「白い」石膏像は、ロダンの創作にとって大変重要なものであるといえるでしょう。

《眠り》1894年 石膏

《眠り》1894年 大理石

  例えば、《眠り》という作品をご覧ください。石膏像には、手と果物のようなものが女性像に付いていますが、大理石像には、それらが見あたりません。ロダンは、石膏像から大理石像への制作の過程で、これらの持物を取り除いたのだと考えられます。このように、石膏像にしか見ることのできない造形があり、そのため両者を比較することによって、ロダンの創作の秘密が少しずつ明らかになってくるのではないでしょうか。
  このように、まだまだ見どころは、たくさんありますが、本展は「白」と「黒」という斬新なテーマと代表作によって構成されており、作品の質と規模において、他に類を見ない展覧会です。ぜひ、この機会にロダンの新たな魅力と創造の秘密にふれてみてはいかがでしょう。

(当館学芸員 泰井 良)


《鼻のつぶれた男》
(右:ブロンズ,中:大理石)と古代ローマの彫像

《ラ・パンセ》1893-95年 石膏

《私は美しい》1885年? 石膏

information 
●特別講演会

2月4日(日)午後3時〜4時30分
「ロダンのアトリエ」 講堂(申込不要・無料)
講師:ドミニク・ヴィエヴィル氏
(ロダン美術館館長、国家文化財首席学芸員)


●技法セミナー

2月10日(土)午前10時30分〜午後3時
実技室(要申込・無料)
「ロダンの技法を探る」
講師:藤原徹氏(東北芸術工科大学教授)


●美術講座
2月25日(日)午後2時〜3時
講座室(申込不要・無料)
「《青銅時代》をめぐるスキャンダル」
講師:泰井良(当館学芸員)
 
3月3日(土) 午後2時〜3時
講座室(申込不要・無料)
「ロダンと二つの記念像」
講師:小針由紀隆(当館学芸課長)




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