オーギュスト・ロダン
《ボードレールの頭部》
1892年頃
ブロンズ
25.5×20.5×22.5cm
当館蔵
シャルル・ボードレール(1821−1867)は、詩人で評論家。鋭い美術批評でも名高い。ロダンは1880年代終わりから当時の名立たる文学者のモニュメントを連続して依頼された。この作品は、バルザック、ヴィクトル・ユゴーに続く肖像彫刻である。ロダンはボードレールと直接の面識はなかった。そこで、《バルザック記念像》のときと同様に、詩人に似たモデルを探し出し、制作の手がかりとした。ともすると、表情に乏しいようにも見える作品だが、「並外れて大きい」額、「内面に向かうかのような眼差し」、「嘲笑的な唇」などのロダン自身による形容は、「悪魔的なボードレール」を目指した作者のディテールへのこだわりを示している。 |
(当館主任学芸員 南 美幸) |
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