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鳥海青児 《張家口(ちょうかこう)》
1939(昭和14)年頃
41×53cm キャンヴァス、油彩
平成14年度新収蔵品


大地は、自然と人間を育む「生きもの」である。風雨や陽光にさらされながら、永い年月を経て豊かなものとなる。烏海は「生きた」大地を描くため、絵具を何層にも塗り重ねた、自らが思う色になるまで。下地の絵具は、我々が目にする表面の色や絵肌に微妙なニュアンスを与える。まさに、地層が形作られるように、絵具は塗り重ねられ、そこには全く無駄なものがない。赤紫色の空は独特の輝きを発し、建物は大地と渾然一体となって、大きなうねりを生んでいる。形(フォルム)と絵肌(マティエール)が一つになり、大地に潜む深い色を引き出している。張家口は現在の中国・河北省の北西部にある町で、烏海は一度だけこの地を訪れた。
(当館学芸員 泰井 良)

Index
■美術館学校連携普及事業
■平成14年度 新収蔵品のご紹介
■特集・狩野派の世界2003
■神秘の王朝−マヤ文明展

■研究ノート 展覧会にかかわる普及事業の一例

■静岡New Art「わたしの居場所」展
■本の窓


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