作家に生まれつきの天才と努力型の秀才とがあるとするならば、ジャコメッティは典型的な後者だろう。針金のような人物像へ行きつく前に、若いジャコメッティは民族美術やシュルレアリスムを参照しつつ、彫刻の本質的な問題を無骨なまでのやり方で試行錯誤した。《横たわる女》もその一つである。ぜひこの作品を正面からとともに、側面から見てほしい。受ける印象がまるで違うことに驚くだろう。彫刻はいったいどこから見るのか、この古くて新しい問題にジャコメッティは取り組んでいる。その問いは、やがて戦後アメリカ彫刻に引き継がれた。当館前庭のトニー・スミス《アマリリス》もその一例である。
(当館学芸員 堀切正人)
Next >>
来館者の声 ボランティア活動 友の会について 関連リンク カタログ通信販売 前売り券のご案内 美術館ニュース「アマリリス」より 年報 評価委員会