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谷文晁 《富士山図屏風》
1835(天保6)年
163.1×363.2cm
紙本墨画群青
平成14年度購入


 風景の記憶とは一体何だろう。好きな風景といっても細かな地形まで覚えているわけではない。本図は、富士図の名手とうたわれた関東南画の重鎮・谷文晁が最晩年に到達した富士山である。水墨の大胆な筆致によって、山の秀麗な形を強調し、点景としてさまざまな山容を添え、前景には川を配し小船を浮かべる。文晁がそれまでに見、描いてきた富士山のイメージが混沌と湧き上がってきたかのようである。頂の周辺に引かれた一条の群青は効果的で、画面に洒脱な趣きをあたえている。鋭角な富士山の形、藍という色の使用は、本作制作の2〜4年前に刊行された葛飾北斎《富嶽三十六景》の「凱風快晴」「山下白雨」、いわゆる「赤富士」のイメージから来たものかも知れない。
(当館主任学芸員 飯田 真)

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