● 本の窓　イアン・コールドウェル＆ダスティン・トマスン『フランチェスコの暗号』 上・下、新潮文庫、平成16年 　hypnerotomachia Poliphili.『ポリフィロの愛の闘いの夢』とでも訳されるこの本は、1499年にフランチェスコ・コロンナが著したとされ、異教や神話、寓意、エロティシズムに満ちた難解なテクストと木版画で有名です。『フランチェスコの暗号』は、このルネサンスの奇書の謎に挑むプリンストン大学の学生の友情を描いた推理小説です。書物への情熱をミステリー・タッチに仕立てた先例としては『薔薇の名前』が浮かびますが、『フランチェスコの暗号』の方が小説としてははるかに読みやすいでしょう。ラテン語、ギリシア語、アラビア語などが錯綜する『ヒュプネロトマキア』は、1999年に英訳本が出版されました。 （当館主任学芸員　南 美幸）

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